第128回 桶狭間古戦場に常設の観光案内所が正式オープンしました

中日Web「尾張時代の信長をめぐる」過去記事 

2019年6月21日

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入り口で出迎える若き信長様


名古屋市緑区桶狭間。ここはご承知のように桶狭間の戦いの古戦場として有名な場所です。信長と義元の銅像が立つ桶狭間古戦場公園には、全国から多くの歴史ファンが訪れており、平成30年度はカウントできただけで1万1916人(実際にはこの数倍とも)。毎月1000人平均ですから、10年ほど前の10倍に増えています。そこでかねてからこの観光客が寄ることのできる常設の案内所が求められていましたが、今年2019年、ついにそれができました。桶狭間古戦場観光案内所という名で緑区桶狭間巻山2037、大池の西側道路沿いに6月16日にオープンしたのです。


この3月に仮オープンしていましたが、6月16日に神事を行って正式オープンの運びとなりました。素晴らしいのは10時から16時まで、なんと原則、年中無休(ただ夏季と年末年始は臨時閉所あり)。入り口には「いくさの子」の信長銅像が置かれ、案内所内にはパネル展示で合戦の解説や、史跡場所の案内があります。そして2名のスタッフが常駐しており、様々な要望に対応してくれます。史跡ガイドツアーの取次や甲冑体験のほか、関連書籍販売、Tシャツやおけわんこなどのグッズ販売も。私の本の「桶狭間への道」も売っていただいております

今までは観光で来ても、古戦場公園でただ見るだけでしたが、観光案内所に来れば休憩もでき、知識を得られて史跡を廻りやすくなり、古戦場訪問記念のお土産も買うことができます。これで、観光地らしいおもてなしが提供されることになりました。運営しているのはNPO法人桶狭間古戦場保存会(正式名称は特定非営利活動法人桶狭間のまちづくりと桶狭間古戦場を保存する会)で、それまであった古戦場保存会が昨年からNPO法人となったものです。実は私も会員になっています。

NPO法人桶狭間古戦場保存会の代表理事、梶野泉氏


今回、観光案内所のオープンの前にNPO法人桶狭間古戦場保存会の通常総会が公民館であり、昨年度の活動が報告されました。史跡の保存と整備事業(清掃など)、伝統行事の継承と活性化事業(5つの祭に参加し、3000名ほどに現地観光ガイドを行う)、情報発信事業(ホームページとゆるキャラおけわんこ)、観光の振興事業(名古屋市の観光魅力創出事業を受け、陣中月見の宴、戦国武者・姫歩き、大高城兵糧入れなどのイベントを実施)、観光施設の充実と運営事業(観光案内所、大高道説明看板設置)、まちづくり事業(一般向け講座「桶狭間塾」の有料開催)が行われ、これらの活動で、世のずいぶん多くの人が「名古屋市緑区」の桶狭間を意識するようになったと思われます。

突撃前に雨が強くなるシーンで、本当に雨が強くなってきたところ


観光案内所オープンの一週間前、6月9日(日)には恒例の桶狭間古戦場まつりが開催され、例年名古屋市が行う信長攻路再現劇のクライマックスシーンが、桶狭間神明社の特別ステージで行われました。ことしはあいにくの小雨でしたが、劇中、大雨が降り出すシーンで本当に雨脚が強くなり、おもてなし武将隊ら役者は大変でしたが、観客は大いに雰囲気が盛り上がったようです(実際にはみなずいぶん濡れてしまいましたが)。

長福寺駐車場のステージでは桶狭間太鼓、ご当地キャラ歴史探検隊など様々な催しがあり、また愛知各地の戦国甲冑隊がステージでお披露目のあとパレードを行いました。また古戦場史跡を巡るボランティアガイドツアーや、史跡巡りのスタンプラリーなども。そして恒例の歴史講演会は静岡大学名誉教授の小和田哲男先生が招かれ「今川義元の事績と桶狭間」のタイトルで、たっぷり2時間ありました。

夕方からは大池のまわりに戦死者を弔う3,500本のろうそくを立てる「万燈会」が行われましたが、その頃には雨も上がり、幻想的な雰囲気が楽しめました

大池のまわりをぐるりと取り巻く3500本のロウソクが幻想的です


というわけで、緑区の方の桶狭間古戦場は、観光客が訪れても十分楽しめる場所になってきました。桶狭間合戦に関しては様々な説があり、私も自説を持っていますが、そうした説を現地に赴いていろいろと検討してみるのが、歴史の楽しみの醍醐味でしょう。そのための拠点になる場所が常時開いているというのは、歴史好きにとってはとてもありがたいことだと思います。まあ、歴史を知らなくても観光案内所にいけば、その場でいろいろ知ることができますので、どちら様もぜひお出かけくださいね。

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