第130回 夏休みは大人も子供も、小牧山城史跡情報館「れきしるこまき」へ

中日Web「尾張時代の信長をめぐる」過去記事 

2019年7月31日

入ってすぐの城郭シアターは見応え充

子どもたちの夏休み、どこか連れて行くところを考えているのでしたら、良いところをご紹介しましょう。それが愛知県小牧市の小牧山城史跡情報館「れきしるこまき」です。

今年、令和1年の4月25日にオープンしたばかりの歴史ガイダンス施設です。この連載では信長の小牧山城に関して、毎年その発掘調査を紹介してきましたが、そのお話をざっとまとめて紹介してあるのがここ。もちろん新しい施設だけに凝ったビジュアルで、子供はもちろん大人もたっぷり楽しめます。室内施設なので暑くないし。

小牧山城は、かつては信長が美濃を攻めるための砦的な城とされてきましたが、小牧市の発掘調査によって、当時としては画期的な石垣を持った「見せる城」であったことがわかってきました。さらに城下町も整備され、どうやら信長による「新しい尾張の首都」作りがなされたのではないか、そんな見方をこの「達人に訊け」でも紹介してきましたが、この施設もその説で小牧山城が紹介されています。そのあたりの詳細は過去の記事を読んでもらうとして、さっそく「れきしるこまき」の館内をご紹介しましょう。

「れきしるこまき」が建っているのは、以前は公園の南駐車場があったところ。市役所の北側で、大手道の東側の入り口から入っていったところです。床面積1000㎡という平屋造りで、入り口から入ってすぐには無料ゾーンの企画展示資料室があります。ここには山頂部分の石垣模型や城下町の模型などがあり、お城の基礎知識が得られるパネルもあります。

エントランスと企画展示資料室

入場料100円(中学生以下無料)のゾーンはまず城郭シアター。丸い部屋の正面のスクリーンは床に映されたアイコンを踏むと、信長・秀吉・家康の三英傑に関して、紹介映像の内容が変わります。信長の城であった小牧山城へは後年、小牧・長久手の戦いでは家康が入り、秀吉とにらみ合いとなります。信長の話ばかりでなく、家康、秀吉という三英傑がかかわる城である、ということがこの城のセールスポイントなのをお忘れなく。

城郭シアター

次の部屋では屏風型のスクリーンで信長公記作者の太田牛一がお出迎え。ディスプレイ上に三英傑のポインターを置き、その向きでコンテンツを自在に表示させる、ゲーム感覚のディスプレイ展示も楽しいですよ。キツネが小牧の昔話をする展示では、私も紹介した「小牧山城が火車輪城と呼ばれたこと」が紹介されてました。山頂の石垣部分に輪のように焚いた松明が車輪に見えた、という私の意見とはちょっと違うのですけど。

次の石垣の模型に映像が投影されるゾーンは、手前の石に手かざしして様々な映像をコントロールできます。何よりこの模型は石垣の一段目、二段目の原寸モデルですから石垣の迫力が実感できます。そのとなりには発掘された佐久間石(佐久間という墨書が書かれた石)が展示されています。これは感動ですね。その奥にはちょっとしたプレイスペースがあって、野面積みから算木積みまでの石垣の積み方も模型で体験できます。

ということで100円でもう十二分に楽しめて、小牧山城の歴史と存在意義がしっかり理解できるはず。ここだけだと1~2時間ほどでしょうから、ぜひ小牧山に登って山頂にあるお城型の歴史館も楽しんでください。所要時間は30分強。入場は共通料金ですからチケットを持って行きましょう。なお駐車場は小牧山北に50台あります(最初の2時間無料です)

ところで小牧市では観光ボランティアガイドの用意もあります。こちらがユニークなのはモデルコース以外に、行きたいところへ連れて行ってもらえること。ただし、これができるガイドさんは何人もいる中でお一人だけとのことなので、必ず事前予約が必要です。もちろん普通のガイドツアーも予約したほうが安心でしょう。なお毎週土曜午前10時からの定期観光ガイドツアーは無料で参加できますが、貸し切りでガイドしてもらう場合は1000円必要です(電話0568-39-6123 受付は9時から17時 木曜休み)。

私のオススメは北東4キロにある岩崎山(小牧市大字岩崎)へ連れて行ってもらうこと。この山から取れる花崗岩が小牧山城の石垣になったのですが、小牧長久手合戦ではこの山を秀吉側が砦にしました。したがってこの山から石を運び出すことはできないはずなので、小牧山の石垣はそれ以前、つまり信長の時代に作られたということになったのです。しかし巨大な岩の塊である岩崎山、なぜこんなものがここにあるのか、とても不思議な感じがしてしまいます。小牧山からはちょっと距離があるので、バス・タクシーや自家用車でボランティアガイドに同乗してもらって行ってみるといいでしょう(交通費は自己負担です)。

巨石がすごい岩崎山

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