第77回 どうしたら、豊明と緑区の桶狭間古戦場を一緒に観光開発できるのでしょうか?

2016年6月27日

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豊明市と緑区のゆるキャラが一緒に並んでいます


(先回からの続き)実は6月12日に名古屋市が行った桶狭間の戦い再現劇の前週の日曜日、6月5日にも豊明市の方の古戦場公園で桶狭間古戦場祭りがありました。今回が50周年となるこの祭りは、地元住民にとってはもはや伝統行事ともいえるもの。名鉄中京競馬場駅すぐにある古戦場公園と、その隣の真言宗高徳院の広い敷地が会場です。こちらは交通至便です。

義元の乗る輿はさすがに担がれてはいません


子どもたちも楽しそう


外国人の参加も目立ちました


公道を封鎖して800mほどの武者行列があり、行列は露店などがたくさん並ぶ高徳院の広場の特設ステージへ進みます。今川義元はちゃんと輿に乗っています。こちらのパレードは豊明市長はもちろん、大村愛知県知事も参加。緑区の桶狭間からはゆるキャラおけわんこが参加していました。

熱田での戦勝祈願シーンです


討ち取られる義元


正に全員参加の合戦


合戦再現劇の方は、出演する武将が信長役は関東の人、義元役は緑区の人で豊明住人ではなく公募で参加した一般人でした。ということでセリフはナレーターが話し、それに合わせてふりをするというもの。京都太秦の法被を着た人もおり、この劇の監修が行われたようです。それゆえ見応えはなかなか。

合戦シーンでは行列の地元の人たちが加わり男性、女性、外国人、子供と入り乱れて、皆さん楽しそう。地元住民にとっては合戦の実態や場所がどうのということより、いつものお祭りを楽しく違和感なく楽しんでいる様子でした。

最後の勢ぞろい


これらに先立つ5月15日には緑区の桶狭間保存会による緑区の古戦場祭りがあり、こちらは9年ほど続いています。緑区の住民は当然こちらを地元の祭として楽しんでおり、6月12日の再現劇の方は名古屋市に駆りだされた感も少しあるようでした。

今年初めには豊明市と名古屋市の桶狭間の関係者が、観光を推進させようと手を取りあったことをここでも紹介しましたが、今回の再現劇では豊明市の方はやはり蚊帳の外という感じ。清洲城は行政区を越えて関わっているわけですが。

挨拶する大村愛知県知事


やはりどこで合戦がありどこに本陣があったのか、という歴史論争の決着がついていないこと、また住民の歴史への関心の薄さもあり、豊明市と緑区が一緒に盛り上げて活動していくことは、なかなか難しいことだと実感しました。

名古屋市にしても、2回行った再現劇イベントは成功と見ていいでしょうけれど、これを今後どう観光に活かしていくかに関しては、はっきりとした道が見えているわけではなさそうです。そうしている間にもこの辺りでは住宅がどんどん建設されており、当時の面影はなくなりつつあります。また、地元では観光地化を望む人ばかりではないようです。

思うに、確かな資料がない以上、今後も歴史論争に決着がつくことはないでしょう。その意味ではこちらが正しいと言い合うより、様々な論をわかりやすく説明して、考えて楽しむ観光地として一帯を観光開発してはいかがかと思います。

私としては歴史ツアーガイドの充実とVR技術の融合で、現地で、あたかもそこに武将がいるようなコンテンツを見られるようにすれば、住宅地化が進んでも観光客をいっぱい集められるように思えるのですが。たしかにこの一帯で、その後の日本の歴史を決める重要な、かつ謎に満ちた合戦があったことだけは事実なのですから。

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